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Q1:マーケティングは人材も少なく、CXOが苦手とするところではありませんか?

A1 : スタートアップが死んでしまう理由の一つに、顧客獲得コストが高すぎることがあります。

PMFを達成して資金調達をしたものの、結局、ユニットエコノミクス(ユーザー一人を獲得した時に利益が出ているのか損失が出ているのかを表す指標)だと獲得コストが全ての大事なポイントになるなので、多くの起業家が、戦略性のない、無駄の多い顧客獲得を実行してしまい、盲目的に広告に突っ込んでしまうのです。

私はマーケティングを「顧客とプロダクトの最適な出会い方を演出すること」と定義しています。

マーケティングはUXの一環であり、「どういう出会い方をするか」が大事です。しかし、CXOにマーケティングの全体像がわかっていないと、モグラ叩き的に施策を打ってしまいます。CXOが全体のストーリーを作り、ファネル設計をした上で ペルソナに深く刺さるためのタッチポイント、ストーリーを作らないと成果が出ません。

しかし、マーケティングについてトレーニングを受けたことのある人はほんの一握りです。なので、CXOは実行できなくてもいいのです。ただ、ディレクションできることは必要です。

CXOはファネルの全体像を理解してKPI設定ができないと、継続も、適切な指示を出すこともできません。

Q2 : マーケティングがちゃんとできていればプロダクトは売れますか?

A2 : ドラッカーは「マーケティングの本質は、セールスを不要にすることだ」と言っています。

セールスに取り組む大前提として、世の中の8割の商品やサービスはセールスの必要がなく、マーケティングでことが済む可能性が高いということを覚えておいてください。

スタートアップにとって、ユニットエコノミクスを改善することは非常に有効です。

PMF後は、マーケティングの機能を入れることでCPAを下げることに注力し、ユニットエコノミクスを改善する必要があります。

Y-Combinator創業者のポール・グラハムは、「スケールしないことをしろ」と唱えていますが、私はこの言葉を「ユニットエコノミクスが健全化するまでスケールするな」と解釈しています。

逆に言えばユニットエコノミクスが健全化した後でスケールすれば、成功する確率は高まります。

Q3 : マーケティングうまくいっている会社の特徴はありますか?

A3 : これまで、マーケティングは4Pの観点(Product を適切なPricing で最適なPlaceでPromotionしていくこと)が重要でした。しかし、デジタルが浸透し、体験が重視され、誰でも情報発信できる時代のマーケティングは、4E(Experience、Exchange、Every Place、Evangelism)が重要になりました。

4Pを4Eに転換したことで成功している会社に、家計簿アプリのMint、スマートニュース、Dropbox、PayPayなどが挙げられます。

ユーザーのニーズをどのように顕在化していくか、緊急性を高めていくかなどについて、なだらかな階段を作ってそれに合わせてコンテンツを提供することができる会社は、ストーリーがしっかりしているからブレません。